上野まり子のアジアンスター

トム・ハンクス主演『キャプテン・フィリップス』11月29日(金)公開

トム・ハンクス+ポール・グリーングラス監督

こんにちは 上野まり子です。
 10月に開催された第26回東京国際映画祭のオープニング作品として上映されたトム・ハンクス主演映画『キャプテン・フィリップス』がいよいよ11月29日(金)公開となる。

 2009年4月に実際のソマリア海域で起きた海賊人質事件を基に、20名の乗組員の命を救った実在のフィリップス船長の生死をかけた緊迫の4日間を『ボーン』シリーズ、『ユナイテッド93』のポール・グリ−ングラス監督が、迫力のアクションと緊迫のドキュメンタリックな手法で描いた。フィリップス船長を演じたのは『フォレスト・ガンプ 一期一会』と『フィラデルフィア』で2度のオスカーに輝くトム。ハンクス。枯れてなおかつ船長としての誇りと、監禁される人質の恐怖をリアルに演じ、3度目のアカデミー賞主演男優賞成るかとの高い評価を受けている。

トム・ハンクス+ポール・グリーングラス監督

 東京国際映画祭に合わせ4年ぶりに来日したトム・ハンクスは10月17日映画祭オープニングのグリーンカーペットやセレモニーなど一連の行事に出席、翌10月18日にはポール・グリーングラス監督と共に記者会見に臨んだ。会場は東京ミッドタウンホールA  初来日となったポール・グリーングラス監督は映画祭で作品を紹介することが出来て光栄だとし、トム・ハンクス氏は、昨日は首相や多くの監督、俳優とお会いできて嬉しかった、良い朝を迎えられたと挨拶した。

Q:事件を知っていたか
トム・ハンクス氏:ニュースとしてのみで詳しくは知らなかった。フィリップス船長には2度会ったが、初めて会った時には自宅でビールを飲みながらバスケットを観戦するなどいたって普通の気さくな人だった。コンテナ船の船長として世界中で誇りを持って仕事をしている人だ。事件について、自身の仕事についてとても詳しく話してくれた。

Q:撮影は75%が海上シーンで60日間かかったそうだが、其々どのような経験となったか?
監督:救命艇のシーンは一部ステージで撮影したが、一日12時間から14時間は大型船ではあったが、荒波の上での撮影で体力が消耗し、日を追うごとに疲労が蓄積して困難を極めた。二人とも遺伝子的に恵まれていたのか何とか乗り越えた。だが映画製作において困難はチャンスとも言える。困難ではあったが、忠実に再現することが出来た。

トム・ハンクス氏:ステージでの救命艇のシーンはビジュアル処理が施されているため本物の大波を受けた時のような揺れはなく、気分が悪くなるような事はなかった。

Q:実際の事件を扱った作品はドキュメンタリーになりがちだが、演出面で社会性とエンタテインメントのバランスをどのように考えているか?
監督:バランスも大切だが、観客が作品を観た時に、価値ある体験を提供出来るかが大切であり、取り上げた素材を観賞価値のある作品にして、感銘を与えられるかが重要だ。

トム・ハンクス

Q:海賊を生み出す社会状況について
トム・ハンクス氏:この映画に出てくる悪人は根っからの悪者というより、腐敗した政治や国、貧困など複雑な社会情勢を背景にして、希望を持てない暮らしを強いられている状況が起因している。この映画を通じて社会がいかに不公平であるかが伝わるだろう。「この世の中で一番危険なのは生きる目的がない若者に銃を与える事だ」と言う。容認できる事ではないが、背後には複雑な状況があることを理解する上で、この映画は意義がある。 監督:悪には背景があると言う事がこの映画のテーマでもある。犯罪物語は犯罪によって生じる結果としてストーリーが展開していくが、優れたものは必ず道徳が軸となり、その曖昧さも加えて様々な作品に表現されている。

Q:実際の女性乗組員をキャストに起用したことについて
監督:これが映画製作の現実だ。救出された後に船長室にいる設定だったが、あまり良い出来ではなかった。事件の際に救出に当たった駆逐艦の艦長に実際の状況を聞き、再現することにした。現場はパニックとなったが、相手はトム・ハンクスではあるが、訓練だと思って普段どおりしてほしいとお願いした。それはむしろ気負わずによい結果となった。トム・ハンクス氏:医務室での撮影は全く予定外だった。すでに全編撮影終了の段階で、全てのシーンが頭に入っていた。駆逐艦の乗組員もプロ、撮影班もプロという中、双方のプロ意識が撮影を即決させた。残っていた4枚のシャツが4枚で撮影した。映画作りのプロセスを信じて信念と勘で即興的に撮影に臨むのはグリーングラス監督の真骨頂だ。その場で瞬時に演じるのは自由であり、その上リアリティーが生れる。その結果あのようなすばらしいシーンが完成した。

Q:実際の乗組員との交流について
トム・ハンクス氏:実際に事件に合った船のシスター船で撮影した。そのクルーが仕事の手順など細部まで教えてくれて、大いに参考になった。副艦長マーフィー役の俳優と一緒に一晩乗り込んだ。そのお陰で自分の体験から演技をする事が出来た。

Q:もっとも感銘を受けた台詞は?
トム・ハンクス氏:船員と話をするシーンをリテイクする事になった。フィリップス船長が「ユニオンなどと言わずに、皆で海賊に対応しよう」と言う台詞で船長としての責務が表現できた。ポール・グリーングラス監督は一度撮影を終ても、リテイクや追加する事によってキャラクターを際立たせると言う特徴があるが、それが現れたシーンだった。

Q:エンディングシーンについて
監督:“エンディング”は正しく終えることが重要で難しい。いくつかを撮影して、それらを合わせて最善のものにする場合もある。今作は順当に終えると感情的に満足いただけないと思って、順当ではない終わり方を選んだ。『カサブランカ』や『ゴッドファーザー』などはすばらしい終わり方だ。

Q:オスカー受賞の重要性と新作について
トム・ハンクス氏:「招かれれば楽しいパーティー」という程度だ。新作『インフェルノ』については、まだ決定に至っていない。

トム・ハンクス+ポール・グリーングラス監督
© OFFICE MSARIKO

『キャプテン・フィリップス』
『キャプテン・フィリップス』
11月29日(金) 新宿ピカデリー他、全国ロードショー!

『キャプテン・フィリップス』
(原題:Captain Phillips全米公開10月1日)
監督:ポール・グリーングラス
出演:トム・ハンクス、キャサリン・キーナー
原作: “A Captain’s Duty: Somali Pirates, Navy SEALs, and Dangerous Days at Sea”By Richard Phillips with Stephan Talty
配給・宣伝:ソニー・ピクチャーズ
【ストーリー】
2009年4月。コンテナ船マースク・アラバマ号は、援助物資5000トン以上の食糧を積んでケニアに向かうべくインド洋を航行していた。それは20人の乗組員にとっていつもと変わらない旅だった。とりわけ53歳になるベテラン、リチャード・フィリップス船長にとっては。だが、アラバマ号がソマリア海域に入った時、事態は思わぬ方向へ暗転する。アラバマ号がたった4人の海賊に襲われたのだ。海賊たちは粗末な身なりだが武器を携帯しており、非武装のアラバマ号はたちまち占拠されてしまう。だが、そこでフィリップス船長は20人の乗組員の解放と交換に自らが拘束される。そこから、フィリップス船長たった一人対ソマリア人たちとの命がけの行き詰まる駆け引きと、海軍特殊部隊NAVY SEAL、救出作戦実行チームのスナイパーを巻き込み、オバマ大統領が代表するアメリカ国家の威信を賭けた闘いが始まった!



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