フォスコ・マライーニ写真展「魅惑の海女たち」開催中



フォスコ・マライーニ写真展「魅惑の海女たち」  こんにちは 上野まり子です。
今日は写真展のご紹介。

 イタリア人の著名な文化人類学者で、著述家、登山家、写真家としても活躍したフォスコ・マライーニ(1912-2004)の写真展「魅惑の海女たち」が東京九段にあるイタリア文化会館エキジビジョンホールにて開催されている。

 フォスコ・マライーニ氏はアイヌの研究の為に1939年に初来日して以来、日本人と自然の特別な関係に強い興味を抱いて、その研究の成果を多く著した。その一つは「Meeting with Japan」として英訳され、欧米人の日本の印象へ強い影響を与えたとされる。

 今回の写真展では、フォスコ・マライーニ氏が長年関心を持っていた海女を調査し、ドキュメンタリーを撮るため1954年来日し、能登半島の北にある舳倉島と御蔵島を訪れ、村の様子や伝統行事、村人、海女の姿を撮影した内、海女の写真を中心に約30点が展示されている。なお、その時に撮影されたものは一部「海女の島 舳倉島」('60)に収められている。

 当時の海女の姿は、わずかな布切れに下部を隠しただけの素裸。桶を抱えて健康的な笑顔を見せている。 作品の素晴らしさはもちろんだが、海女たちの美しい裸体に感動した。大変失礼な言い方になるが、魚ならば身が締まっていると表現したい。 形の良いバスト、きりりとしまったウエスト、鍛えられたヒップと抜群のスタイルだ。もちろん”現代のモデルのような”という意味ではない。 しかし健全な肉体とはあのような体を言うのだろう。また屈託のない笑顔に輝くようなまなざしは健全な精神をも宿しているに違いないと確信させるに足る。まさに生きる喜びに満ちている。

 会場では上記の日本語版「随筆日本―イタリア人の見た昭和の日本」も展示されている。また、今では普通になった水中撮影も、当時は器具もなく、マライーニ氏自身が水中での海女の姿を捉えるために工夫した防水用のケースも展示されている。

 更には、石川テレビ製作の番組「日本へのラブレター〜フォスコの愛した人たち」('04)が上映されている。そこには来日当時の氏の姿やイタリアでの亡くなる直前の取材の際の日本人の妻と共の姿、舳倉島のゆかりの人々などが紹介されている。その中でフォスコ・マライーニ氏が日本人と自然の関係、自然を神として捉える日本人の精神性を特別なものだと考えていた文化人類学者としての側面も紹介している。

 氏が友へ宛てた遺言には「月の住人から」と署名され、またその墓石には宗教を超え、世界平和を強く望んだ氏の意思を示す様に十字架と仏像が彫られているそうだ。

 会期は6月30日(火)まで。梅雨の合間、昔の日本人の美しい姿とフォスコ・マライーニ氏が捉えた日本人の精神性に触れてみるのも素敵な時の過ごし方では!

 なお、ご紹介した書籍の表紙と簡単な内容はアマゾンでご覧いただけます。
*「海女の島 舳倉島 〔新装版〕 (転換期を読む)
*「随筆日本―イタリア人の見た昭和の日本

イタリア文化会館 【インフォメーション】
「フォスコ・マライーニ写真展 魅惑の海女たち」
日程: 2015年6月16日 - 2015年6月30日
時間: 11時〜18時 (日曜休館 )
場所: イタリア文化会館 エキジビションホール
   アクセス
主催: イタリア文化会館、ルガーノ文化博物館
入場無料



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